プロパー融資とは?審査や金利のメリットデメリット

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プロパー融資とは?

銀行が事業主に対して融資を行う場合、主に「信用保証付き融資」「プロパー融資」の2種類に分けられます。

 

「信用保証付き融資」とは地元の信用保証協会が保証を行う融資のことです。
万が一貸した資金が回収不能になった場合には、信用保証協会が貸した相手側に代わって銀行に返済を行います。つまり銀行にとっては回収不能に対するリスクを抑えることができます。

 

一方「プロパー融資」とは信用保証協会の保証がつかない融資のことです。
そもその「PROPER(プロパー)」とは「本来の、固有の」という意味があります。つまり銀行が直接、銀行の100%責任で行う融資のことを指します。万が一貸したお金が回収できない場合には、その分まるまる銀行の損失となります。

 

プロパー融資のメリットは?信用保証付き融資との違い

通常信用保証付き融資では、信用保証協会に対して借入額に応じて保証料を支払う必要があります。一般的な制度融資では借入額1,000万円に対して5万円〜20万円程度の保証料が発生します。当然借入額が多くなれば、保証料も高くなりますのでその分の負担を考慮しなければいけません。

 

一方、プロパー融資にはこのような保証料は発生しませんので、借入に対する費用負担を抑えることができます。

 

また信用保証付き融資には、1企業に対する貸付上限額が設けられています。
通常、無担保融資で8,000万円、有担保融資で2億8,000万円という貸付上限以上は、どれだけ返済能力が高くても利用することはできません。

 

一方、プロパー融資にはこのような貸付上限がありませんので、銀行がOKさえ出せばいくらでも借入することは可能になります。とくに大型設備資金などでは信用保証付き融資では対応できないこともあるでしょうから、プロパー融資を検討する必要も出てきます。

 

  プロパー融資 信用保証付き融資
保証料 保証料なし 1,000万に対して5〜20万
貸付上限額 貸付上限なし

無担保融資で8,000万円
有担保融資で2億8,000万円

 

プロパー融資のデメリットは厳しい審査基準

信用保証付き融資では、保証協会の保証さえ取り付けることができれば、まず銀行の審査には合格できます。
一方、プロパー融資では回収不能の損失がそのまま銀行の損失につながることになりますので、審査基準が厳しくなるのは止むをえない点でしょう。そのため審査に合格するには、事前に念密な準備が欠かせません。
逆にいえば審査にさえ合格できれば、その後のメリットが大きくなるのがプロパー融資といえます。

 

一般的に中小企業では銀行側から「プロパー融資で対応しましょう」とはなかなか提案されないものです。プロパー融資を銀行側から打診されるということは、それだけ返済能力を備えている問題ない企業であると判断されていることになります。
強固な信頼のもとで「優良企業」のお墨付きを頂いているといえるのではないでしょうか。

 

銀行内部の企業格付により適用金利が決定

信用保証付き融資の場合には、1%〜2%代の固定金利を利用することができます。ただし保証料負担を考えなくてはいけませんので、実質的には「金利+1%以上」の負担が発生することになります。

 

一方プロパー融資の場合には、保証料は発生しません。しかし適用される金利は、融資先の内容によって異なってきます。

 

一般的には「信用格付」と呼ばれている、銀行内部の企業格付により適用金利が決定されます。格付が高い企業ほど低金利になり、条件次第では信用保証付き融資よりも低金利で借入することも可能です。

 

逆に格付が悪ければ金利が高くなる傾向になるとともに、財務内容その他に問題がある場合には、審査そのものに合格できることも難しくなります。

 

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このように考える企業経営者も多いかもしれませんが、自社の状況と審査基準を考慮しておかなければいけません。

 

審査基準で重要視されるのは決算内容

プロパー融資は100%銀行の責任で行います。回収不能となった場合には、全額が銀行の損失となりますので、審査は慎重に行われます。
プロパー融資を受けたいと考えるのであれば、自社の状況をよく把握したうえできちんと銀行側に説明できるように、十分対策を講じる必要があります。

 

プロパー融資の審査で重要視されるのは自社の決算内容です。審査ではまず提出された決算資料をチェックすることから始めます。
最近の銀行では事業融資でもスコアリングが導入されており、決算資料の各数字や各比率(自己資本比率・流動比率など)を点数化、つまりスコアリング化した「定量分析」を行うようになっています。

 

ただし提出された決算資料をそのまま、額面通りに審査するわけではありません。
以下の内容などを審査担当者自らがチェックし、マイナス要素として加味することになります。

 

  • 売掛金の中に回収不能な不良債権はないか
  • 在庫は適正水準か、つまり水増ししていないか
  • 無駄な固定資産はないか(壊れて使用不能の機械などはないか)
  • 開発費や権利金などの繰り延べ資産がどれくらいか
  • 出資金や長期貸付金などの長期前払費用はどれくらいか
  • 代表者役員などへの貸付金はないか

 

これらは「資産のうち換金性の乏しいものは資産として認められない」として決算書の資産の部から差し引かれることになります。その結果「自己資本比率」が圧縮される要因となります。

 

逆にプラス材料して挙げられるのは固定負債の部に計上されている「長期の役員借入金」ぐらいです。つまり「役員に対して返済しない(返済できない・する必要のない)借入金は負債として考慮する必要はない」という考えからです。

 

以上は主に決算資料のうち「貸借対照表」に関する事項です。
では「損益計算書」ではどうでしょうか?

 

当然、税引き当期利益がプラスであることが前提で、その他の要素としては次のような項目を判断します。

 

減価償却費は適切か?

減価償却費は返済原資としてプラスとしてみることができます。ただし最近の審査傾向ではあくまで「税引き前当期利益」が「プラス」である補てんとしてとらえられる傾向があります。もちろん「減価償却不足」などはマイナス要素として判断されます。

 

役員報酬は適切か?

役員報酬も返済原資としてプラスとしてみることができます。いざという場合に、役員報酬の削減も可能だろう、という理由からです。ただしあくまで「適正な額」が前提で、役員の最低限の生活費を考えて充当可能金額を推測します。
ここでは役員家族の構成なども判断材料となります。もちろん生活費などを考慮して不足と判断されるとマイナス要素となります。

 

このような(実質の内容を加味した)スコアリング判定に合わせて

  • 経営者の人柄や熱意
  • 経営戦略や経営計画の内容
  • 後継者の有無

 

なども審査の判断材料となることもあります。
銀行の審査担当者も人の子ですので、このような内容が審査に影響を与えないとも限りません。特に地元の地方銀行などでは、このような主観的判断を尊重する傾向にあります。もちろん一番大切なことは自社の返済能力であることには違いありませんが。

 

プロパー融資は難しい?

通常創業したての企業が銀行からプロパー融資を引き出すのはまず無理でしょう。銀行としても何の実績のない企業に対して、リスクを承知で貸し出すようなことはまずありません。
一般的に、創業から2〜3年たった企業でないとプロパー融資は難しいといわれています。その期間は信用保証付き融資で、銀行との信頼関係を築いていくことが大切です。その後のプロパー融資に切り替えるという流れを覚えておきましょう。

 

だからといって銀行との信頼関係が出来上がっても、いきなり高額融資を申込んでもスムーズにはいかないかもしれません。信用保証付き融資の実績を積んだ後は、少額のプロパー融資でさらに銀行とに絆を築いていきましょう。

 

銀行にとって融資しやすいといえるのは短期間で少額の融資です。季節的な需要やつなぎ的な融資資金は、資金使途がある程度明確で回収できる可能性も高いと判断されます。まずはこのような少額融資で実績を積んでおき、いざという場合の資金需要に対応できるように、銀行との関係を深いものとしておくようにしましょう。