元銀行融資担当者に直撃インタビュー!銀行融資を受けやすくするポイント

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この記事を書いた元銀行融資担当者の経歴

銀行融資を担当していたキャリアのある男性に、銀行融資を受けやすくするコツを生の声としてインタビューしてきました。

 

1973年生まれ

  • 大学卒業後、大阪の某地方銀行に入行。
  • 支店勤務で融資担当者として、窓口受付、稟議作成、事務処理などを勤める。
  • 数店舗勤務後、入社後5年で本店個人ローンセンター勤務、商品開発担当の職を勤める。
  • 約3年後主任に昇格後、本店融資管理部に配属、債権回収などの事務処理、および同行の金融検査対応などの業務を勤める。
  • 現在は約15年勤務した地方銀行を退社し、大阪府下の会社勤務の傍ら、執筆業を営む。

 

元銀行融資担当者に直撃インタビュー!銀行融資を受けやすくするポイント

 

≪目次≫

  1. 銀行融資を受けたい!!
  2. 銀行との絆を深めておこう
  3. 支店決済と本部決済
  4. 資金使途の妥当性
  5. 銀行担当者を満足させる資金繰り表
  6. 損益計算書のポイント
  7. 貸借対照表のポイント
  8. 銀行融資の審査のポイント

 

銀行融資を受けたい!!

中小企業の社長の皆さま。
商店街の店舗の経営者の皆さま。
日々自社の事業発展のために、苦労されていることでしょう。
事業の浮沈は、自分の身だけでなく、社員の身にも大きな影響を与えます。
そのため、日々悩まれることも多いのではないでしょうか?

 

とくに事業を継続していく中での資金繰りについては、大きな悩みを持たれる経営者も多いと思われます。毎日の運転資金、事業拡大のための設備資金など、事業を継続・発展させるには多額の資金を必要とします。
そこで有効的に活用したいのが「銀行融資」でしょう!

 

ところが当然ながら銀行に融資を申込んでも、必ず融資を受けることができるとは限りません。
多くの書類を準備し何度も支店の窓口を訪問しても、残念ながら審査に合格できないケースもあるでしょう。
銀行の審査の中身は一般的には公表されるものではなく、融資を受けることができるかどうかは、実際に審査を受けてみるまではわかりません。

 

では実際の銀行融資ではどのような点をポイントとなるのでしょうか?
審査のポイントはどこにあるのでしょうか?

 

なかなか一般では知ることのできない銀行融資の内部事情を、10年以上地方銀行で融資担当として勤務してきた経験から説明してみましょう!
あなたの会社・事業の手助けができれば幸いです。

 

銀行との絆を深めておこう

銀行は顧客から預金を預かり、その資金を貸金として運用します。
預金に対しては利息を支払う必要があり、貸金に対しては利息収入を得ることができます。
つまり銀行の利益の根本となるのは「貸金に対する利息収入」なのです。

 

ところが変わったことに銀行は「お金を貸して下さい」と声をかけられた方に対しては融資を行わない傾向があります。とくに全く取引の無い「一見」の顧客からの融資希望については、これまでかというぐらい慎重な立場をとってきます。

 

これまで全く関わりのない顧客から「お金を貸して下さい」という要請は「今お金に困っているのだろう」と判断してしまう傾向があるのです。

 

このことから銀行融資をスムーズに進めるためには、日々銀行との間に関係を持っておく必要があります。普段から絆を深めておくことで「これだけの取引実績があるのだから、融資を行っても問題ないだろう」と銀行側に思わせることが大切です。

 

さらに銀行側から「融資を利用してみませんか?」と提案されると、ほぼ自社の勝利といってもよいでしょう。

 

そのためにまずは、口座開設を行い、預金取引を開始しましょう。
最初は「普通預金」を開設し、「当座預金」「定期預金」と取引を拡大していきます。
さらに事業関係の資金を開設した預金を通じて行います。
取引先からの入金なども、取引を深めたい銀行口座を通じて行うようにしましょう。

 

預金は当然、自社の「資産」として判断される他、自社の内容を把握させる重要な要素ともなります。預金の入出金を確認することで「どのような取引先を保有しているのか?」「取引規模はどれくらいなのか?」といった、融資の審査でも重要な要素の資料とすることができるのです。

 

会社の代表者や役員などの個人的な預金も取引を行うことで、銀行との絆を深めることができるでしょう。さらに従業員の給料の振込口座を指定することも有効的に働きます。

 

このような取引を行っていると、そのうちに法人担当者の勧誘を受けるはずです。融資取引以外にも、様々な提案を行ってきますので、できるだけ話を聞くようにしましょう。自社の業況、社員の状況なども法人担当者に話しを行うことで、コミュニケーションを深めることが大切です。

 

現状資金繰りに問題がない場合でも、融資の需要はいつ発生するかわかりません。できるだけ取引を深めておき、銀行との絆を構築しておきましょう!

 

支店決済と本部決済

銀行の融資システムでは、決済、つまり融資の可否判断は基本的に「支店長」の決済となります。しかしすべての融資を支店長の決裁で行うことができるわけではありません。申込金額が大きくなると、支店長の決裁権限を超える場合もあります。

 

これはすべての決裁を支店長の判断で行うリスクを避ける目的があります。支店長権限を超える融資の可否判断は、本部で行うことになります。

 

銀行用語では支店長決裁を「店決」、本部決済を「本決」と呼ぶこともあります。文字通り「支店で決済するのか」「本部が決済するのか」ということです。

 

権限を決定する融資金額は、通常支店の違いで決められています。例えば、「1融資先に1億円以上は本決」という具合です。この金額は「支店規模」などに左右され、一般的には大都市圏の店舗で高くなり、郊外店舗で低くなる傾向があります。

 

「店決」に比較すると「本決」は審査基準が厳しいといわれています。提出しなければいけない書類も多く、その分時間も必要となります。

 

普段から取引内容を知っている支店であれば、融資に対する説明もある程度楽かもしれません。しかし自社の内容を本部にまで精通してもらうのは、大変な作業となることもあります。場合によっては代表者自ら本部役員などに説明しなければいけないこともあるでしょう。

 

銀行内部のこのような融資システムの制度を知るだけでも、融資に対する姿勢の助けとなるでしょう。

 

資金使途の妥当性

銀行融資では融資金の使い道、いわゆる「資金使途」が重要視される傾向にあります。

 

 

「借りたお金を何に使おうが、自分の勝手ではないの?」


このように思われるかもしれませんが、銀行は顧客の預金という大切なお金を預かっている以上、本当にお金を必要とされる方に対して融資を行う必要があります。

 

また資金使途と同時に、借入金額も妥当性があることを証明しなければいけません。
「借りれるだけ借りたい」という姿勢では、本当にお金が必要なのか、現状の自分について正確に把握していないのではないか、と判断されますので注意しなければいけません。

 

資金使途を明確にする理由には「必ず返済してくれそうだ」と銀行側に説得する意味もあります。資金使途やその金額をあいまいにしていたのでは、借入後の返済についても疑問視されることになるでしょう。

 

事業融資での資金使途は、主に「設備資金」「運転資金」の2種類があります。

 

設備資金

「設備資金」とは文字通り、土地・建物・機械・車両などを購入するための資金です。設備資金の投入により、自社の事業を拡大させ利益増加を図るための借入です。

 

設備資金について銀行側に説明するのは、それほど難しくはありません。見積書などを提示して、設備投資の有効性、自社の利益にどれだけ貢献するのかを説明することになります。

 

ただし過剰投資は、企業の利益を逆に圧迫する危険性もあります。そのため説明の過程では「その設備にどれだけ必要性を感じているか?」「どれだけの覚悟を持って設備投資を行うのか?」を踏まえて丁寧に理解を求める必要があります。

 

運転資金

「運転資金」とは、企業の事業を行う上での必要経費のための資金で。一般的な企業は利益とは関係なく資金が足りなくなることがありますので、常に「運転資金」を準備しておかなければいけません。

 

ところが運転資金がどれだけ必要なのか、具体的に何に使う運転資金なのかを説明するのは、口頭では簡単に説明できません。一般的な説明資料としては「資金繰り表」などを提出することになりますが、運転資金の借入を要請する場合には「前向き資金」であることを説明する必要があります。

 

「前向きな資金」とは、次のような例を挙げることができるでしょう。

 

  • 単に「支払先への支払い」ではなく「新たに仕入先を開拓するため」の資金
  • 単に「販売先からの回収までの資金」ではなく「新たに販促するため」の資金
  • 単に「従業員に対する給料支払い」ではなく「新たに雇用を行うため」の資金

 

もちろんここで挙げた例の「前半部分」でも借入を行うことは可能です。しかし「後半部分」のように自社の利益に直結する内容であれば、説得力も高くなるといえるでしょう。

 

逆に「赤字を補てんするための資金」「他の借入を返済するための資金」という理由では、多くの銀行担当者は渋い顔をすることでしょう。実際にこのような理由で借入を希望する方も多いのが実情ですが、まず融資を受けることはできませんので注意しましょう。

 

銀行担当者を満足させる資金繰り表

先ほどチラッと述べましたが、銀行融資の資金使途(特に運転資金)を説明する資料のひとつに「資金繰り表」があります。資金繰り表とは一定期間の収入と支出の関係から、現金・預金の残高を把握する書類です。資金繰り表により資金ショートが予想される場合には、運転資金を調達する必要があります。

 

ところが実際の企業、とくに中小企業は資金繰り表を作成していない先も多く、銀行側に提出を求められて慌てて作成するというケースも多いのではないでしょうか?

 

普段作成していない書類を急に要請されても、うまく作成できるわけがありません。つじつまが全く合わなく、銀行担当者に不信感を与えることになっては、融資を受けることが難しくなります。

 

銀行担当者は、資金繰り表により「本当に必要な資金額」に合わせて「回収可能額」を判断することになります。そこで銀行融資を要請する場合に、担当者を納得させることができる資金繰り表の作成について考えてみましょう!

 

資金繰り表

 

資金繰り表の作成項目には「入金」「出金」の2つがあります。

 

「入金」については「現金売上」「売掛金入金」「受取手形取立」などの項目があります。
一方「出金」については「現金支払」「買掛金支払」「支払手形決済」「人件費」「その他経費」などの項目に合わせて「借入金返済」も加える必要があります。

 

「入金」「出金」の両項目から、実際の資金の流れや資金残高を把握するのが資金繰り表判断の大きな目的となります。

 

これらの諸項目が、実際に事業内容と比較して整合性があれば問題ない資金繰り表といえるでしょう。そのポイントとしては、次の4つを挙げることができます。

 

売上高・仕入高との整合性

資金繰り表の「入金」「出金」が実際の「売上高」「仕入高」に合致しているか?

 

予想売上高・予想仕入高との整合性

過去のデータと比較して、今後の売上高・仕入高が妥当か?
季節変動要素などは加味されているか?

 

売上回収サイト・仕入支払サイトとの整合性

「現金」「売掛金」「受取手形」それぞれの回収サイト(期間)、「現金」「買掛金」「支払手形」それぞれの支払サイト(期間)が、実際の事業状況と合致しているか?

 

資金需要と返済可能なシナリオ

銀行借入を行うことで、資金ショートを回避できることの説明。
借入後の返済を考慮しても、資金ショートを起こさない説明。

 

資金繰り表の作成の意味は「このままだと資金ショートを起こしてしまうが、融資を受けることができれば、その後の売上増加により代金回収により十分返済可能である」と説明を行うことにあります。

 

その説明を目に見える形で数字化したのが資金繰り表といえますので、銀行融資を受けるにかかわらず、できれば普段から作成する意識を経営陣としては備えておきたいものです。

 

合わせて読みたい記事

資金繰り表

資金繰り表の簡単な作り方|エクセルの雛形もダウンロード可

 

損益計算書のポイント

決算書の中で「単年度でどれだけ儲けているのか?」を示すのが「損益計算書」です。損益計算書の各項目について、銀行の審査担当者はだいたい「下」から見ていきます。

 

つまり、当期純利益→経常利益→営業利益→減価償却費→役員報酬→その他の金額、という順で損益計算書をチェックしていく傾向にあります。このうち返済原資として判断されるのが「役員報酬+減価償却費+当期純利益」の合計金額となります。

 

ただしこの合計金額がプラスであっても「当期純利益がマイナス」の状態は極端に印象が悪いものといえます。なにしろ本業で「赤字」の状態ですので致し方ないでしょう。

 

その他の注意ポイントとしては、次のような状態を挙げることができます。

 

役員報酬が極端に少ない

当期純利益がプラスであっても、役員報酬が極端に少ない状態では問題です。例えば「役員報酬120万円」と計上されていると、「生活費は月10万円」となります。これではいくらなんでも生活していけないだろう、と判断されることになります。

 

万が一事業利益から借入返済が苦しくなった時、どこまで役員報酬を削減して返済に充てることが可能か、というのが役員報酬を返済原資としてみなしているポイントとなります。

減価償却費が未計上

減価償却費を計上してしまうと赤字に転落してしまうので償却していない。このような中小企業もあるかもしれませんが、これは「償却負担力が無い」と判断されてしまいます。

 

同様に減価償却費を一部だけ計上している状態も同じことがいえます。決算書のうち「減価償却費明細」なども重要な判断材料となるのです。

 

ちなみに減価償却費を返済原資としてみなすことができないケースもあります。例えば「賃貸業の賃貸物件の償却費」「パチンコ業のパチンコ台の償却費」などは、事業を行う上で「今後資産が目減りしてきた場合の入れ替え費用」として判断されることになりますので、返済原資としてみなすことができません。

 

貸借対照表のポイント

損益計算書が「単年度でどれだけ儲けているのか?」を示す書類に対し、貸借対照表は「これまでの事業実績」を示す書類といえます。

 

これまでの儲けが確実に企業の資産として上乗せされているのかを示す書類となります。当然事業がうまくいかず赤字状態であれば、企業の資産は目減りしているでしょう。

 

貸借対照表を銀行担当者がチェックするポイントは、次の4点です。

 

資本の部の合計が資本金を上回っているか?

貸借対照表の右下の大項目「資本の部」(もしくは「純資産の部」)の合計が資本金を上回っているかどうかをチェックします。資本金を下回っているということは、いつの時期かは別にして過去大幅な赤字を出しているか、もしくは年々赤字を積み立てているか、ということになります。

 

「資本の部」の「当期未処分利益」の下の「うち当期純利益」が赤字か黒字か?

「うち当期純利益」が黒字であれば@の資本の部の合計が資本金を下回っていても、業績は回復傾向にあるということになります。

 

「負債の部」に「役員借入」が計上されているかどうか?

「役員借入」が計上されている場合、「資本(純資産)の部」の合計がマイナスであっても、その額を上回る役員借入をプラス材料としてみなされることもあります。実際に社長が身銭を投入しているということですね。

 

長期借入金

長期借入金のうち役員借入金を除いた額を、その企業の月収で割ってみます。その結果が「4」を超えていて、なおかつ長期借入金と同額程度の固定資産が計上されていない場合、長期借入金のほとんどが運転資金の借入となります。つまり運転資金を自社利益から確保できない「自転車操業」と判断されることになります。

 

さらに長期借入金を損益計算書の「当期純利益+減価償却費」で割り、その結果「10」を超えている場合には、かなり印象が悪くなります。返済原資に対しあまりにも長期借入金の額が多いと判断されることになります。

 

銀行融資の審査のポイント

以上を踏まえた銀行融資の審査は、次のような項目に従い、総合的に判断されることになります。

 

財務内容

財務内容は健全かどうか?
問題があっても今後好転することは可能か?

融資希望額とその資金使途

融資申込の理由は、その資金は何に使うのか?
申込金額は現在の企業状況から妥当なものか?

返済原資・返済見通し

融資借入はどのようにして返済していくのか?
返済原資は利益、売上金、資産売却などのうちどれか?
返済の確実性についての見通しはどうか?

 

さらに今回は説明できなかった「担保」なども審査のポイントとなります。

 

いずれにしても自社の企業継続や拡大を目的とした銀行融資を受けるには、様々なポイントが考えられるということになります。基本姿勢は「借りた資金を確実に返済できる」ことを明確に説明して、自社の売りをアピールするように心がけましょう。

 

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